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造園業や庭師も人様のご家庭に入り、そのお庭の管理ばかりでなく、地域のおつきあいからご家族の幸せまで、あらゆる知恵を駆使して見守り寄り添っている昔ながらのスペシャリストなのです。
師としての「たかりべ」
庭師の仕事は造園業の仕事もしますが、師としての「たかりべ」なんです。
当然技術もありますが、口で伝える仕事なんです。後は木が元気になる手伝いをするんです。
お医者さんもアドバイスだけで根本の治癒能力は患者が持っていますよね。
庭を造り、町を創る
庭師の仕事は庭造りを通じて、地域に根付いた文化を受け継ぎ守ること。
地域活動やら町づくり、町を受け継ぐ子どもたちの指導やら、それこそ数え上げたらきりがありません。
庭師の用いる技
現在の土木工学では測量機でレーザー等を使って行いますが、庭師は水盛り測量や降り下げ、直角を出すときは3:4:5の法則を使ったり原始的な方法を使います。地点を決める時も「山立て」も使います。日時計の原理もテコの原理、滑車の重力の軽減原理も使います。
大木を持ち上げるのは、植木を掘り出す時期を考えて芽が出る前に根回しをして植木の先端を揺らしながら根の下に土を入れていくと常に山のてっぺんに植木が上がってきます。竹を半分に割って端と端の節だけ残して水を溜めれば水の水面は左右共に同じ高さになる。そのポイントから糸を張れば水平が取れる。
縄はお正月のしめ縄などを作るので手で編みます。15cm、20cm、25cmの辺で三角形を作れば1つの角は必ず直角ができます。山立てなんかは漁師さんの知恵袋でGPSのない時代はそれこそ常識だったんですね。
伐採、抜根、整地も人力
庭師は現代の機械を使わず石を動かしたり木を掘り起こしたりの技術が室町時代からの技を受け継いでいます。
2トンの植木をクレーンを使わず1.5mも持ち上げたりします。
庭師の知恵袋はたくさんあるんですよ。
大学などの研究機関がピラミッドの作り方を解明しようと必死ですが、庭師はある程度の石の運び方を知っていたりします。今では現場で縄を編める職人もほとんどいませんが、それらの技術も後世に伝承していきたいものです。
造園業との違い
庭師は体を使って生き抜き、魂を用いて伝える仕事です。
部分的な造園作業にとどまらず、お庭を通して技術や文化、そして知恵を受け継いでいくものなのです。
地域のもめ事を解決する
ある日、山の境界線のトラブルの解消の仕事をしました。いきなり弁護士や司法書士が法的に介入をするより庭師や山師の話し合いで解決させた方がスマートでしょう。
その上で測量士を呼んで土地の所有者に覚書を書かせてから法務局へ司法書士を使って登記の手続きをしました。
庭師の仕事って常識の範囲で間違いないことをするって感じでしょうか。当事者双方が納得し、禍根を残さないこともとても大事なことなのです。